血圧の話(1)高血圧と年齢の関係

昨日は,認知症とその予防に関する最新の情報等のお話でした。

そこでご紹介した,フィンランドの研究による認知症予防に効果的な生活習慣の中に,

「毎日の血管管理で高血圧を防ぐ」というものがありました。

これは,脳内ネットワークをつないでいる神経細胞に,栄養と酸素を送っている血管を守る

ためです。

 

こうした脳内ネットワークだとか,認知症予防だとかに関係なく,高血圧については日頃から,

気にかけている方は多いのではないかと思います。

 

まず,高血圧には,腎臓の病気やホルモンの異常,特定の薬の服用によって誘発される等,

原因が明らかで特定できるもの(二次性高血圧)と,「これが原因」と特定することができな

いもの(本態性高血圧)とに分かれます。

 

本態性高血圧の原因には,遺伝や日常生活上の不摂生など,ライフスタイルに関するものが

考えれ,その中で「これが血圧を上昇させている」とはっきり言い切ることができません。

 

高血圧の患者さんは大変多いのですが,そのほとんど(9割以上)が,検査等で原因を特定

することができない,この本態性高血圧だと言われています。

ですので,ここで「高血圧」というのは,本態性高血圧を意味すると思って下さい。

 

さて,そもそも,血圧ってなんなのでしょうか。 

血圧というのは,血管の中の圧力のことを意味します。

電圧が,抵抗と電流で決まるように,血圧は,血管抵抗と血流量で決まります。

ですので,血管抵抗が高いか,血流量が多いか,のいずれかであれば,

血圧は高くなる=高血圧ということになるのです。

 

血管抵抗と血流量で決まる血圧には,血管の老化も大きく関係してきます。

つまり,血管が老化によって,硬く細くなることで,血管抵抗が高くなってしまうのです。

若い頃は低血圧だったのに,年をとるにつれて高血圧になってしまった・・・という声を

よく聞きますが,それは,加齢とともに血管が老化することが原因であり,ある意味,

自然の摂理とも言えます。

また,加齢とともに,運動不足や肥満など,生活習慣の不摂生も生じやすくなりますよね。

高血圧と加齢には,こうした関係があるのです。

 

加齢以外に,高血圧の原因は,遺伝的なものと,日常生活の不摂生(塩分の過剰摂取,

運動不足,肥満,アルコール,持続的なストレス)など様々です。

また,遺伝的なものが主な原因の人もいれば,日常生活の習慣が主な原因の人もいたり・・・

このような個人差があることも,高血圧という疾患の特徴でもあります。

 

さらに,高血圧には,特に目立った症状がないという厄介な特徴もあります。

放置しておくと,動脈硬化などを起こし,脳卒中や心臓病などにつながる危険性があります。

神経質になる必要はありませんが,やはり,自分の血圧がどのくらいなのかは日頃から

気にかけ,そして,生活習慣も見直すように心がけていきたいですね。

 

できれば,毎日,朝晩の2回くらいはご自宅で血圧を計測する習慣をつけるといいでしょう。

でも,気になり過ぎて,何回も測ってはダメですよ。

血圧は,心(気持ち)と大きく関係していますから。

どうしよう~とか,高くなってはダメ!などと思っていると,血圧は上がってしまいます。

 

血圧は,ストレス(負荷)がかかると,上がってしまうのです。

ということで,明日は,高血圧とストレスの関係について,少しお話ししたいと思います。