ストレスの話(1)ストレスと体の関係

10月も後半となりました。

季節の変化を感じる日々ですね。

季節の変わり目には,日頃気になっている痛みが増すような気がするという方がいらっしゃいます。

確かに,気候や気圧の変化は,私たちの心身に影響を与えるようです。

こうした変化は,ストレスの一種とも言えます。

 

以前、慢性的な痛みと心の関係<慢性的な痛みの話(1)(2)>についてご紹介しました。

ケガなど、表面的,肉体的な異常が検査をしても見つからない,また,通常の治療期間が過ぎても

痛みが続くという状態の背景には,人間関係での緊張や不安,深い悲しみや怒りといったストレス

長期化が関係しているという可能性が高いというお話です。

 

では、どうして、ストレスによって痛みが引き起こされるのでしょうか。

それを考えるには、まず、ストレスと体の関係について少し整理してみましょう。

ストレスというと、とにかく悪いもの、諸悪の根源!的なイメージを抱く方もいらっしゃるかも

しれませんが、ストレスには成長のために必要という一面もあります。

 

まず、私たちの体には、一定のバランスを保つ、ホメオスタシス(恒常性)という機能が備わっています。

ホメオスタシスの柱は、自律神経(体の働きを調整)・内分泌(ホルモンを分泌)・免疫(外部からの異物

の侵入を防ぐ)の3つ。

ストレスが一定の限度を超えてしまうと、この3つ働きのバランスが大きく崩れてしまい、ホメオスタシスが

正常に機能しなくなってしまいます。

 

何らかの原因で、体のいろいろなバランスが崩れた状態(ストレス状態)から回復する際に生じる反応を

ストレス反応といいます。

外からの刺激(ストレッサー)が加わると、脳の視床下部の働きによって自律神経が交感神経ONになり、

内分泌や免疫も作動して、その時々に適した状態に体を適応さえていきます。

このストレス反応によって、私たちは、適応性が維持・強化されていくのです。

まったくストレスを受けることのない状況というのは、私たちを「変化に対応できない弱い存在」

にしてしまいます。

 

ところが、これが過度・長期的になってしまうと、ホメオスタシスの3つの柱である、自律神経・ホルモン・

免疫のバランスが崩れてしまいます。

過度、長期的なストレッサーにさらされ続けると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経優位の状態が続きます。

そして、ホルモンもストレス状態に対する防御力が限界を超えてしまったり、免疫の働きも弱まったりします。

 

3つの柱のバランスが崩れたホメオスタシスは、正常に機能できなくなり、心身に様々な不調をきたします。

そして、痛みや病気を招いていくのです。

こうしたストレスと体の関係を知っておくと、明らかな病名はない不調や痛みの原因も見えてくるかも

しれませんね。