claim はクレームじゃない

旅行英会話は、現在日常英会話クラスの一部として扱っています。

旅のいろいろなシーン別に、よく使うフレーズを出しているのですが

先日空港の会話で「荷物受取所」が出てきました。

英語では「baggage claim」ですが

入国審査を抜けて、荷物をピックアップしに行くのにいつも目にしていると思っていたら

案外皆さん思いつかなかったようで、ちょっとびっくり。

「ツアーだと、入国したら添乗員さんが待ってて

 あとは連れて行ってくれるから、表示とか見たことないのよね。」

なるほど、そういうことですね。

 

で、さらにこの「claim」という単語

日本語の「クレーム」と音が同じなので、「苦情」という理解の方がほとんど。

でも英語では、要求するとか、強く主張するという意味です。

いわば、日本語の「クレーム」は和製英語というところでしょうか。

なので、baggage claim は荷物を要求するところという意味になります。

荷物がなくなって苦情を言うところじゃないんです。

 

英語で、日本語の「クレーム」にあたるのは complaint。

「クレームをつける」と言いたいなら、make a complaint になります。

苦情を言う人を、日本では「クレーマー」などと言いますが

英語で言うなら complainer でしょうか。あぁややこしい。

昔、"claim for damages" (損害賠償請求)という表現があり

極端に短くされて、一般に定着してしまったのが始まりとか。

こういう、中途半端な和製英語がいちばん困りますね…

 

そういえば、少し前ですが

イギリスで、若い女性が行方不明になって殺されてしまった事件があり

女性たちが、町が安全になるよう路上デモを行っていたことがありました。

その際のスローガンが「Reclaim these streets!」

claim が「要求する」ですから、re = 再び がついて

直訳すると「これらの通りを取り戻せ!」

つまり、「安心して歩ける街に戻して!」といった感じの意味です。

英語だと直感的にわかるのですが、日本語にするのが難しいですね💦

claim が「クレーム」じゃない感じ、ちょっとはわかって頂けたかな…